手の太陰肺経の流注
手の太陰肺経は、胸ではなく中焦(お腹の真ん中)からスタートします 。そこからまず下に降りて、属絡関係にある「大腸」に連絡します(絡う)。
その後、Uターンして噴門部(胃の入り口)をめぐり、横隔膜を突き抜けて、ようやく本拠地である「肺」に入ります(属する)。 肺からは気道(気管・喉頭)を上って、腋下(脇の下)のあたりに顔を出します。
そこからは、腕の前側の親指側(上腕前外側〜前腕前外側)を下っていき、手首の親指側の脈打つところ(太淵)を通って、親指の外側の爪の生え際(少商)で終わります。
また、手首の少し上(列欠)から分かれた「支脈(バイパス)」は、人差し指の先端に向かい、次の路線である「手の陽明大腸経」へとバトンタッチします。
💡 国試対策のワンポイント!
肺経のルート暗記で絶対に落としてはいけないポイントは以下の3つです!
① 始まりは「中焦(お腹)」! 正経十二経脈は肺経から始まりますが、そのスタート地点は「上焦(胸)」ではなく「中焦(お腹)」です。
② お腹から胸へ行くため「横隔膜を貫く」! スタートがお腹(中焦)で、本拠地が胸(肺)にあるということは、必然的に胸とお腹を隔てる「横隔膜」を突き破って進むことになります。
③ 終点は親指だけど、バトンタッチは「人差し指」! 肺経の終着駅は親指の「少商」ですが、次の「大腸経」の始発駅は人差し指の「商陽」です。そのため、手首の少し上の「列欠」から人差し指へ向かう連絡線(支脈)を出して、上手くバトンを渡しているとイメージしましょう。
私の勝手なイメージ:列欠駅からの「直通乗り入れ」!
肺経から大腸経への気のバトンタッチは、「電車の直通乗り入れ」をイメージすると一発で理解できます!
- 本線:肺経の本線はそのまま終点の親指(少商駅)へ向かう。
- 直通ルート:手首付近にある「列欠」というツボが分岐駅となり、そこから人差し指(商陽駅)へ向かう直通ルート(支脈)が出て、大腸経という次の路線へスムーズに気を直通運転させている!
「列欠=他の路線(大腸経)へ乗り入れるための分岐駅」とイメージしておけば、
列欠が他経と連絡する「絡穴」に指定されている理由も、スッキリ腑に落ちますよ!
【第31回 問題108】
経絡の概要について正しいのはどれか。
1.十二経筋は四肢末端から始まる。
2.奇経八脈は奇経同士が表裏関係にある。
3.十二経別は正経とは合しない経脈である。
4.正経十二経脈は上焦から始まる。引用元:東洋療法研修試験財団 はり師きゅう師国家試験
解説
先ほど解説した通り、正経十二経脈のスタートである「手の太陰肺経」は、上焦(胸)ではなく「中焦」から始まります。覚えていると、選択肢4.【正経十二経脈は上焦から始まる。】は誤りであり、削ることができました。
LU1 中 府(肺の募穴)
部位
前胸部にある。第1肋間の高さで、鎖骨下窩の外側、前正中線より外方6寸の位置。
取穴
鎖骨下窩の外側で大胸筋がふくらんでいる部分のやや上方、雲門の下1寸に取る。
LU2 雲 門
部位
前胸部にある。鎖骨下窩の陥凹部で、烏口突起の内側、前正中線より外方6寸の位置。
取穴
上肢を前方に挙げると鎖骨の中央やや外方の下際に陥凹ができる。その凹みの中に取る。
LU3 天 府
部位
上腕の前外側にある。上腕二頭筋の外縁で、腋窩横紋前端から下方3寸の位置。
取穴
腋窩横紋前端と尺沢を結んだ線を3等分し、上端から1/3のところ(腋窩側)で上腕二頭筋外縁に取る。
LU4 俠白
部位
上腕の前外側にある。上腕二頭筋の外縁で、腋窩横紋前端から下方4寸の位置。
取穴
天府のすぐ下1寸、上腕二頭筋の外縁に取る。
LU5 尺沢(肺経の合水穴)
部位
肘の前面にある。肘窩横紋上で、上腕二頭筋腱の外側の陥凹部。
取穴
肘を軽く曲げ、上腕二頭筋腱を浮き立たせて、その外側にできる凹み(肘窩横紋上)に取る。
LU6 孔 最(肺経の郄穴)
部位
前腕の前外側にある。尺沢と太淵を結ぶ線上で、手関節掌側横紋から上方7寸の位置。
取穴
尺沢と太淵を結ぶ線の中点よりも、さらに1寸上(尺沢側)に取る。
LU7 列 欠(肺経の絡穴、四総穴、八脈交会穴)
部位
前腕の橈側にある。長母指外転筋腱と短母指伸筋腱の間の溝で、手関節掌側横紋から上方1寸5分の位置。
取穴
母指を外転・伸展させると腱の間に溝ができる。太淵から上方1寸5分、その溝の中に取る。
LU8 経 渠(肺経の経金穴)
部位
前腕の前外側にある。橈骨下端の最も外側に突出した部分と橈骨動脈の間で、手関節掌側横紋から上方1寸の位置。
取穴
太淵の上1寸。橈骨下端の外側で最も高い部分と橈骨動脈の拍動の間に取る。
LU9 太 淵(肺経の原穴、肺経の兪土穴、八会穴の脈会)
部位
手関節の前外側にある。橈骨茎状突起と舟状骨の間で、長母指外転筋腱の尺側の陥凹部。
取穴
手関節前面横紋上で、橈骨動脈の拍動を感じる部分に取る。
LU10 魚 際(肺経の滎火穴)
部位
手掌にある。第1中手骨の中点の橈側で、赤白肉際(手の甲と掌の皮膚の境目)の位置。
取穴
第1中手骨の中点の外側(橈側)で、手の甲と掌の色が変わる境目に取る。
LU11 少商(肺経の井木穴)
部位
母指の橈側にある。末節骨橈側で、爪甲角から近位外方1分(指寸)の位置
取穴
母指の爪の付け根に近い端で、爪甲の近位縁に引いた線と外側縁に引いた線の交点に取る。
3段階クイズ
初級:流注順 | 中級:部位から当てる | 上級:取穴法から当てる

