四総穴、八会穴、八脈交会穴、交会穴、下合穴とは、複数ある要穴グループの一つです。
要穴とは、全身に数多く存在するツボの中でも、「とくに臨床上において重要な働きを持つ経穴」を総称して呼んでいます。
【主な要穴】
・五要穴
・五兪穴(五行穴)
・四総穴
・八会穴
・八脈交会穴(八総穴・八宗穴)
・交会穴
・下合穴
今回は、この中で、特定の症状や部位に対して「効果を発揮する要穴」をご紹介します。
解説するのは、「四総穴」「八会穴」「八脈交会穴」「交会穴」「下合穴」の5つです。 名前だけ聞くと難しそうですが、それぞれ「どんな時に使うのか」というルールが明確に決まっています。
1. 四総穴:「この部位ならこのツボ!」の4天王
四総穴とは、身体を4つの部分に分け、それぞれの部位の病を主治する(治療する)4つの代表的な経穴のことです。
「お腹が痛いならここ!」「顔の症状ならここ!」というように、部位ごとの特効穴として使われます。
- 肚腹(腹部)の病 ⇒ 足三里(胃経)
- 腰背(腰部と背部)の病 ⇒ 委中(膀胱経)
- 頭項(頭部と後頸部)の病 ⇒ 列欠(肺経)
- 面口・面目(顔面部)の病 ⇒ 合谷(大腸経)
💡 国試対策ポイント!
国試では、「顔面神経麻痺の治療で四総穴を用いる場合、どれか?(答:合谷)」のように、具体的な症状と部位をセットにして出題されます。
「肚腹は三里に留め、腰背は委中に求む、頭項は列欠に尋ね、面口は合谷に収む」という昔からの覚え歌(四総穴歌)で、リズムに乗せて覚えてしまうのがオススメです!
【第33回 問題159】
四総穴の主治を踏まえて治療する場合、最も適切な経穴はどれか。
「52歳の女性。右側の表情筋麻痺で来院。同側の額のしわ寄せは不能で、涙液減少、聴覚過敏、味覚障害、唾液分泌障害を伴う。」
1.合 谷
2.列 欠
3.委 中
4.足三里引用元:東洋療法研修試験財団 はり師きゅう師国家試験
解説
顔面神経麻痺(面口の病)の症例です。
「面口は合谷に収む」の四総穴のルールで、答えは【1.合谷】
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2. 八会穴:8つの「気」が集まる穴
八会穴は、「腑・臓・筋・髄・血・骨・脈・気」という、身体を構成する8つの重要な成分の「気」が集まる(聚る)ところです。 例えば「血」の異常があれば「血会」を使う、というように応用されます。
- 臓会 ⇒ 章門(肝経)
- 腑会 ⇒ 中脘(任脈)
- 気会 ⇒ 膻中(任脈)
- 血会 ⇒ 膈兪(膀胱経)
- 筋会 ⇒ 陽陵泉(胆経)
- 骨会 ⇒ 大杼(膀胱経)
- 髄会 ⇒ 懸鍾(胆経)
- 脈会 ⇒ 太淵(肺経)
💡 国試対策ポイント!
八会穴は、症例問題で頻出します!「めまいがあり、爪の色が薄く、経血量が減少している(=血虚の症状)」という患者に対して八会穴を選ぶなら、血会である「膈兪」が正解になります。症状から「8つのどれに異常があるか」を読み解けるようにしておきましょう。
【第29回 問題141】
次の文で示す患者に対し、八会穴を用いて治療を行う場合、膈兪とともに選穴するのはどれか。
「47歳の女性。2か月前からめまいがあり、頭部MRI検査では異常はなかった。疲れやすく、風邪を引きやすい。爪の色が薄く、経血量の減少がある。舌は淡、脈は弱を認める。」
1.大 杼
2.膻 中
3.陽陵泉
4.懸 鍾引用元:東洋療法研修試験財団 はり師きゅう師国家試験
解説
爪の色が薄い・経血量減少といった「血虚」の症状に対して、血会である「膈兪」が選ばれています。
さらに疲れやすい・風邪を引きやすいといった「気虚」の症状も混在しているため、気会である「膻中」をともに選ぶのが正解となります。答えは【2.膻中】
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3. 八脈交会穴:奇経八脈のスイッチ
別名「八総穴」や「八宗穴」とも呼ばれます。 これは、正経十二経脈と、特別なルートである「奇経八脈」とが密接に関係するツボ(奇経の主治穴)です。
最大の特徴は、「上肢のツボ」と「下肢のツボ」を1対のペア(組み合わせ)にして治療に用いることです。
【絶対に覚えるべき4つのペア】
- 内関(陰維脈) × 公孫(衝脈)
- 外関(陽維脈) × 足臨泣(帯脈)
- 後渓(督脈) × 申脈(陽蹻脈)
- 列欠(任脈) × 照海(陰蹻脈)
💡 国試対策ポイント! 年々国試の難易度が上がっていますが、前提条件としてまずは「ペア(内・公、外・臨など)」が正確に作れるかが問われます!さらに国試の午後問題では、答えのツボが「公孫」ではなく「足内側、第1中足骨底内側の遠位陥凹部」といった解剖学的な部位で選択肢に並ぶため、ツボの位置も正確に言えるようにしておきましょう!
【第29回 問題139】
次の文で示す患者の病証に対し、八脈交会穴の配穴に基づき、手関節近傍の経穴に刺鍼した。もう一か所の刺鍼部位として最も適切なのはどれか。
「50歳の男性。主訴は上腹部痛。胸やけと悪心もある。」
1.足内側、第1中足骨底内側の遠位陥凹部
2.足内側、内果尖の下方1寸
3.足背、第4・第5中足骨底接合部の遠位
4.足外側、外果尖の直下引用元:東洋療法研修試験財団 はり師きゅう師国家試験
解説
胃の症状(上腹部痛・悪心など)から、手関節近傍に取ったツボは「内関」だと推測できます。
「内・公(ないこう)」のペアになるもう一か所は「公孫」です。
- 1.足内側、第1中足骨底内側の遠位陥凹部 = 公孫(内関とペア)
- 2.足内側、内果尖の下方1寸 = 照海(列欠とペア)
- 3.足背、第4・第5中足骨底接合部の遠位 = 足臨泣(外関とペア)
- 4.足外側、外果尖の直下 = 申脈(後渓とペア)
したがって、答えは【1.足内側、第1中足骨底内側の遠位陥凹部】
【第34回 問題148】
次の病証に対して八脈交会穴を用いて治療する場合、下肢の治療穴として最も適切なのはどれか。
「腹部が脹り腰のすわりが悪く、寒熱往来に苦しむ。」
1.申 脈
2.照 海
3.公 孫
4.足臨泣引用元:東洋療法研修試験財団 はり師きゅう師国家試験
解説
寒熱往来の症状に対しては「外関」を用います。
「外・臨」のペアになる下肢のツボは「足臨泣」となるため、答えは【4.足臨泣】
4. 交会穴:経脈の交差点
交会穴とは、2つ以上の経脈が交わるところ(交差点)です。 このツボを刺激すると、局所の症状だけでなく、そこで交わっている複数の経脈にも同時にアプローチできるというメリットがあります。
代表的な交会穴には以下のようなものがあります。
- 百会:督脈、膀胱経、三焦経、胆経、肝経が交わる。
- 大椎:督脈と、手足の三陽経(6つの陽経すべて)が交わる。
- 三陰交:足の太陰脾経、足の厥陰肝経、足の少陰腎経(足の3つの陰経)が交わる。
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5. 下合穴:六腑の病を治す足のツボ
下合穴は、胃・大腸・小腸・胆・膀胱・三焦という「六腑」の病の際に反応が現れやすく、治療に応用されるツボです。
最大の特徴は、「すべて下肢(足)にある」ことです。
- 胃の合 ⇒ 足三里(胃経)
- 大腸の合 ⇒ 上巨虚(胃経)
- 小腸の合 ⇒ 下巨虚(胃経)
- 胆の合 ⇒ 陽陵泉(胆経)
- 膀胱の合 ⇒ 委中(膀胱経)
- 三焦の合 ⇒ 委陽(膀胱経)
💡 国試対策ポイント!
「大腸・小腸・三焦」は本来【手】の経脈ですが、六腑の病を治療する「下合穴」はルール通り【足】に存在します。特に大腸の下合穴=上巨虚、小腸の下合穴=下巨虚、三焦の下合穴=委陽は、五行穴の「合穴(曲池・小海・天井)」と混同しやすいので、国試で強烈に狙われます!絶対に区別して覚えましょう。
【第30回 問題123】
大腸の下合穴が所属する経脈の経火穴はどれか。
1.陥 谷
2.陽 渓
3.解 渓
4.崑 崙引用元:東洋療法研修試験財団 はり師きゅう師国家試験
解説
「大腸の下合穴」=「上巨虚」であり、それは「胃経」に属すると思い出させ、さらに胃経の五行穴を選ばせる2段構えの問題で、答えは【3.解渓】
【第30回 問題140】
次の文で示す症例に対する罹患筋への局所治療穴として適切なのはどれか。
「17歳の男子。陸上部で長距離走をしている。ランニングを開始すると下腿前方
に痛みと腫れが出るが、数十分の安静で症状が消失する。近医で前方コンパートメ
ント症候群と言われた。」
1.小腸の下合穴
2.膀胱の下合穴
3.三焦の下合穴
4.胆の下合穴引用元:東洋療法研修試験財団 はり師きゅう師国家試験
解説
前方コンパートメント(前脛骨筋など)を下行する経脈は「胃経」です。
選択肢のうち、胃経にあるのは小腸の下合穴である「下巨虚」で、答えは【小腸の下合穴】

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